車検で見られるタイヤの溝は、乗用車も軽自動車も深さ1.6mm以上が基準です。
接地する部分のどこか1か所でも1.6mmに届いていなければ、その場で不合格になります。
ただ、車検で確認されるのは溝だけではありません。ひび割れやこぶ、フェンダーからのはみ出し、タイヤの大きさと負荷能力も検査の対象です。
反対に、「ひびがあると必ず落ちる」「スタッドレスは車検に通らない」といった話は、条文を読むと正確ではありません。
この記事では、国土交通省の保安基準(細目告示)と、日本自動車タイヤ協会(JATMA)の資料をもとに、車検に通るタイヤ・通らないタイヤの線引きと、自分で確かめる方法をまとめました。
車検に通るタイヤの基準|5つの項目で判定される
タイヤの溝や損傷は道路運送車両の保安基準の第9条、フェンダーからのはみ出しは第18条、スピードメーターは第46条に決められていて、細かい中身は告示(細目告示)と、検査の手順を定めた審査事務規程に書かれています。
車検でタイヤについて見られるのは、おおむね次の5つです。
| 項目 | 車検に通らない状態 | 根拠 |
|---|---|---|
| 溝の深さ | 接地部のどこかで溝が1.6mm未満 | 細目告示(溝の深さ) |
| 損傷 | 亀裂やコード層の露出など著しい破損がある | 細目告示(損傷) |
| 空気圧 | 空気圧が適正でない | 細目告示(走行装置) |
| はみ出し | フェンダーからタイヤやホイールが突き出している(乗用車のタイヤは10mm未満まで可) | 保安基準第18条・細目告示・審査事務規程 |
| 大きさ・負荷能力 | タイヤにかかる重さが負荷能力を超える、外径が変わってメーター誤差が基準外 | 細目告示・審査事務規程 |

溝の深さは1.6mm以上|1か所でも足りなければ不合格
溝の深さの基準は、乗用車・軽自動車・トラックに共通で1.6mm以上です。
告示には「いずれの部分においても1.6mm」とあり、接地面の全幅のどこか1か所でも足りなければ基準に届きません。二輪車は0.8mm以上です。
条文の基準は「1.6mm以上」で、基準に届かないのは1.6mm未満の状態です。
ただし検査では、次に説明するスリップサインで判定してよいとされていて、スリップサインが出ているタイヤは不合格として扱われます。
1.6mmぎりぎりのタイヤは雨の日に止まりにくくなってもいるので、車検の前に交換しておく状態と考えてください。
溝の深さに含めない部分
告示では、次の部分は溝の深さを測る対象から外すと決められています。
- サイピング(スタッドレスなどにある細い切れ込み)
- プラットホーム(スタッドレスの冬用性能の限界を示す目印)
- ウエア・インジケータ(スリップサイン)の部分
このうちスリップサインは、それ自体で判定に使ってよいとされています。
スリップサインが出ていれば、溝は1.6mmまで減っているという意味です。
スリップサインの見方と、溝の測り方
スリップサインは、タイヤの溝の底に作られた盛り上がりで、溝が残り1.6mmまで減ると、周りの接地面と同じ高さになって帯のように現れます。
位置は、タイヤの側面にある「△」の印で示されていて、JATMAによると両側面にそれぞれ4か所以上あります。

タイヤの外側(サイドウォール)の、接地面に近いあたりに小さな△の印があります。
溝の底に、横向きの段差(スリップサイン)があります。スリップサインが接地面より低い位置にあれば、1.6mmより深い溝が残っています。
片減りしている場合、内側だけスリップサインが出ていることがあります。ハンドルをいっぱいに切ると、前輪の内側の溝も見えます。
カー用品店などで売っている、溝の深さを測るゲージ(デプスゲージ)を主な溝に差し込んで読み取ります。
- 残り溝が少なくなるほど、雨の日の制動距離は長くなる
- 車検の直前にスリップサインが出そうなら、車検と同時に交換すると工賃の手間が一度で済む
- 溝が十分でも、片減りしている場合はアライメント(足回りの角度)のずれを点検してもらう
片減りは車検で見落としやすい|減り方で原因がわかる
外から見て溝が残っていても、内側だけが極端に減っているタイヤは珍しくありません。
車検の点検で初めて気づくことが多く、スリップサインが内側で出ていれば、4本のうち1本だけでも不合格です。
| 減り方 | 主な原因 | やること |
|---|---|---|
| 内側だけ、または外側だけが減る | アライメント(タイヤの向きや角度)のずれ | 店でアライメントを測ってもらう |
| 両端(肩)が中央より早く減る | 空気圧が低い状態で走っている | 月に1回程度、空気圧を確かめる |
| 中央だけが早く減る | 空気圧が高すぎる | 指定空気圧に合わせる |
| 前輪だけが早く減る | 駆動輪やハンドル操作の負担が前に偏る(前輪駆動車など) | 前後のローテーションを行う |
※指定空気圧は、運転席のドアを開けたところにあるラベルなどに書かれています。
片減りを放っておくと、新しいタイヤに替えても同じ減り方を繰り返します。
車検でタイヤを交換するときは、減り方を見てもらい、必要ならアライメントの調整も一緒に頼むと、次のタイヤが長持ちします。
ひび割れ・こぶがあると車検に通らない?
告示で不合格とされているのは「亀裂、コード層の露出等著しい破損」がある場合です。
細かいひび割れがあるだけで、すぐに車検に落ちるわけではありません。
JATMAは、ひび割れの程度を5段階で示していて、ひびが内部のコード(タイヤの骨組み)に達していない限りは使い続けられる、コードに達していれば交換が必要、としています。
表面の浅いひびは、紫外線やオゾンによる劣化として多くのタイヤに出るものです。
| タイヤの状態 | 車検 | 対応 |
|---|---|---|
| 表面に細かいひびがある | 通ることが多い | 進み具合を点検で見てもらう |
| 溝の底や側面に深い亀裂がある | 検査員の判断で不合格になりうる | 交換を検討する |
| コードが見えている | 不合格 | すぐに交換する |
| 側面にこぶ(ふくらみ)がある | 損傷として指摘されることがある | JATMAは交換を推奨 |
側面のこぶは、段差や縁石に強く当たったときなどに、内部のコードが切れてできるものです。
告示に「こぶ」という言葉はありませんが、JATMAは交換を勧めています。走行中に破裂するおそれがあるので、車検の有無にかかわらず早めに交換してください。
タイヤのはみ出しはどこまでOK?|乗用車は10mm未満の例外がある
タイヤやホイールがフェンダー(車体)から外に出ていると、車検に通りません。
見る範囲は、ホイールの中心を通る鉛直線から前方30°と後方50°のあいだで、この範囲で車体より外に出ている部分がないかを確かめます。
ただし乗用車(乗車定員10人未満)は例外があり、いちばん外側がタイヤである部分のはみ出しは、突き出しが10mm未満ならはみ出していないものとして扱われます。
告示ではタイヤ側面の文字や記号の盛り上がり、リムガード(ホイールを守るための側面のふくらみ)の厚みを想定した規定で、検査の手順を定めた審査事務規程では、タイヤの部分が10mm未満であればよいとされています。
| 車の種類 | タイヤの部分 | ホイール・ナットなど |
|---|---|---|
| 乗用車(普通・軽、定員10人未満) | 10mm未満ならOK | 1mmでもはみ出すと不合格 |
| 貨物車(4ナンバーの軽バン・軽トラック、1ナンバーなど) | 例外なし | 不合格 |
| 乗車定員10人以上の車 | 例外なし | 不合格 |
※この例外は、今使っている車にも適用されます(新しい型式の車だけのルールではありません)。
注意したいのは、10mm未満まで認められるのはタイヤの部分だけという点です。
ホイールのオフセットを変えたり、スペーサーを入れたりして、ホイールやナットがフェンダーより外に出ている場合は、少しでも不合格です。
また、この例外があるのは乗用車だけで、軽バンなどの貨物車は、タイヤが少しでもはみ出していれば不合格になります。

スタッドレスタイヤのまま車検は受けられる
タイヤの種類で合否を分ける決まりはないので、スタッドレスタイヤを付けたままでも車検は受けられます。
基準は夏タイヤと同じで、溝が1.6mm以上あるかどうかです。
スタッドレスには、スリップサインとは別に「プラットホーム」という目印があります。
新品時の溝の50%まで減ると現れるもので、冬用タイヤとしての性能の目安です。
先ほどのとおり、プラットホームは車検の溝の測定からは外されているので、プラットホームが出ていても溝が1.6mm以上あれば車検は通ります。
岩手・宮城・秋田・山形・福島・石川・福井・兵庫などでは、道路交通法施行細則などの県の規則で、雪道で使える冬用タイヤを「接地面の突出部が50パーセント以上摩耗していないもの」などと定めています(表現は県によって少しずつ違います。JATMAの一覧による)。
プラットホームが出たスタッドレスで雪道を走ると、車検とは別に、これらの県の規則違反になることがあります。
タイヤのサイズ・年数・スペアタイヤ
サイズと負荷能力(ロードインデックス)
タイヤには、1本で支えられる重さを示すロードインデックス(LI)が決まっています。
車検では、車の重さや乗る人数から計算した荷重が、タイヤの負荷能力を超えていないかが確かめられます。
インチアップで扁平率の低いタイヤに替えると、純正よりLIの低いタイヤを選んでしまうことがあります。
交換するときは、純正と同じかそれ以上のLIのタイヤを選んでください。
タイヤの外径とスピードメーター
外径の大きいタイヤに替えると、メーターの表示より実際の速度が速くなります。
車検ではメーターが40km/hを示したときの実際の速度が見られ、現在の基準では30.9〜42.55km/hの範囲に入っている必要があります(古い年式の車は上限が異なります)。
サイズを大きく変えると、この範囲を外れることがあります。
タイヤの年数に法律上の期限はない
製造から何年たったタイヤは車検に通らない、という決まりはありません。
JATMAは、使い始めて5年以上たったタイヤは販売店などで点検を受け、製造から10年たったものは溝が残っていても交換することを勧めています。
製造時期はタイヤ側面の4桁の数字でわかり、上2桁が製造された週、下2桁が製造された年(西暦の下2桁)です。たとえば「1220」なら、西暦の下2桁が20の年の、12週目に作られたタイヤです。
スペアタイヤは車検に必要?
保安基準には、スペアタイヤを積んでおく義務は書かれていません。
最近はスペアタイヤの代わりにパンク修理キットを積んだ車も多く、スペアがないことで車検に落ちることはありません。積んでいる場合は、空気圧も含めて定期的に点検してください。
溝が足りないまま走った場合の違反
溝が1.6mm未満のタイヤで公道を走ると、車検とは関係なく、道路交通法の「整備不良」にあたります。
警視庁の反則金一覧では、「自動車等整備不良(制動装置等)」は違反点数2点、反則金は普通車9,000円で、タイヤなどの走行装置もこの区分に入ります。
| 車の区分 | 違反点数 | 反則金 |
|---|---|---|
| 大型車 | 2点 | 12,000円 |
| 普通車 | 2点 | 9,000円 |
| 二輪車 | 2点 | 7,000円 |
※警視庁の反則金一覧(自動車等整備不良(制動装置等))による。タイヤなどの走行装置がこの区分に入ることは、道路交通法施行令の別表で決められています。
車検前にタイヤを替えるなら|安く済ませる手順
車検の点検でタイヤ交換をすすめられた場合、その場で交換するか、自分で用意して持ち込むかを選べることが多いです。
交換費用は、タイヤ本体の代金に、組み替え・バランス調整の工賃と古いタイヤの処分料が加わります。
工賃の例として、イエローハットは1本税込1,650円から(バランス調整込み、廃タイヤの処分料は別、店舗により異なる)と公表しています。
タイヤ交換はどこでするか
| 依頼先 | 特徴 |
|---|---|
| 車検を受ける店 | 車検と一緒に頼めて手間がかからない。タイヤの在庫や価格は店によって差が大きい |
| カー用品店・タイヤ専門店 | 銘柄の選択肢が多く、セールの時期もある。車検の前に済ませておける |
| ネット通販+取り付け店 | タイヤ本体を安く買いやすい。取り付けは持ち込みに対応した店に予約する |
| ディーラー | 純正と同じ銘柄やサイズで確実。価格は高めになりやすい |
どこで交換しても、溝の深さ・損傷・サイズや負荷能力などの基準を満たしていれば、車検の合否は変わりません。
車検の店のタイヤ代が高いと感じたら、先に別の店で交換してから車検を受けて構いません。
スリップサインまで余裕がなければ、交換を前提に準備します。
タイヤ側面の「195/65R15 91H」のような表記を写真に撮っておくと、見積もりが早く取れます。
車検の店での交換が高ければ、別の店で先に交換してから車検を受けても構いません。
当日の追加整備の説明が短く済み、見積もりとの差も出にくくなります。
※掲載店や割引の内容は変わることがあります。予約の前に各店の条件を確認してください。
タイヤを通販で買って、近くの取付店で交換してもらう方法もあります。タイヤワールド館ベストは、タイヤの購入から取付店の予約までサイト上で済ませられます(公式サイトの案内)。
よくある質問
- タイヤの溝が何mmなら車検に通りますか?
-
接地部のすべての場所で1.6mm以上あることが基準です(二輪車は0.8mm以上)。
スリップサインが出ていると不合格として扱われるので、ぎりぎりの場合は交換してから受けてください。
- スリップサインが1か所だけ出ています。車検に通りますか?
-
溝は「いずれの部分においても」1.6mm以上必要なので、1か所でもスリップサインが接地面と同じ高さまで出ていれば、不合格として扱われます。
外側に溝が残っていて内側だけ減っている片減りも同じです。
- ひび割れがあるタイヤは車検に落ちますか?
-
細かいひびだけなら通ることが多いです。
不合格になるのは、亀裂が深い場合やコードが見えている場合です。側面にこぶがある場合も、安全のため交換してください。
- スタッドレスタイヤのままで車検を受けられますか?
-
受けられます。溝が1.6mm以上あれば通ります。
プラットホームが出ていても車検には関係しませんが、雪道では冬用タイヤとして認められない県があります。
- タイヤが少しはみ出しています。何mmまでなら大丈夫ですか?
-
乗用車なら、はみ出しているのがタイヤの部分だけで、突き出しが10mm未満であれば認められます。
ホイールやナットがはみ出している場合は、長さに関係なく不合格です。軽バンなどの貨物車には、この例外がありません。
- 10年前のタイヤでも車検に通りますか?
-
年数だけで不合格になる決まりはありません。
ただしJATMAは製造から10年で交換することを勧めていて、古いタイヤはひび割れも進みやすいので、点検で状態を見てもらってください。
- 溝が足りないタイヤが1本だけのとき、4本とも替える必要がありますか?
-
車検の基準では、足りないタイヤだけを替えれば通ります。
ただし同じ軸(前輪どうし、後輪どうし)のタイヤの減り具合が大きく違うと走行が不安定になりやすいので、少なくとも左右2本はそろえて替えるのが一般的です。
- スタッドレスで車検を受けたあと、夏タイヤに戻すときに注意することは?
-
車検のときに見てもらったのはスタッドレスなので、夏タイヤの溝やひび割れは別に確かめる必要があります。
履き替えのときに、夏タイヤのスリップサインと製造年も見ておいてください。
- 車検のときにタイヤを交換しないといけないと言われました。断れますか?
-
溝が1.6mm以上あり、損傷もなければ、交換しなくても車検には通ります。
「予防として」の提案なら、残り溝の数字を聞いてから判断できます。1.6mm未満なら、その店か別の店で交換してから検査を受けることになります。
まとめ|溝1.6mmと損傷の有無を先に自分で確かめる
タイヤで気をつけたいのは、溝の不足と、外から見えにくい片減りです。
車検の2〜3か月前にスリップサインを4本とも確かめておけば、交換が必要でも店を比べる時間が取れます。
- 溝の深さは1.6mm以上(二輪は0.8mm)。どこか1か所でも足りなければ不合格
- スリップサインは側面の△印の先。出ていれば残り1.6mm
- ひび割れはコードに達していなければ通ることが多い。こぶは交換
- はみ出しは乗用車のタイヤ部分だけ10mm未満まで可。ホイール・ナットと貨物車は不可
- スタッドレスでも車検は受けられる。プラットホームは車検の判定には使わない
車検の費用全体の相場や、店ごとの違いは次の記事で比べられます。
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